被災地の取材から、震災10年を刻む合唱曲が生まれました。9月11日に多賀城市文化センターで初演です。
東北の仙台、久慈をはじめ、神戸、広島、長崎など全国の災害、戦災のあった街で毎年、自作曲で追悼と励ましの合唱を響かせる「レクイエム・プロジェクト」が9月11日、多賀城市文化センターで開かれます。
東日本大震災、原発事故から10年を刻む今年の初演曲について、主宰者・作曲家の上田益(すすむ)さんから、一昨年秋、私に作詩の依頼がありました。
完成した合唱組曲は、「また逢える~いのちの日々かさねて~」です。私が取材者として歩いた被災地から、郷里相馬、陸前高田、石巻、飯舘村で出会った人々の言葉が、4つの詩になりました。
ご依頼があった時、「私は詩人ではありません。それでもよいのですか」と尋ねました。上田さんは「詩人ではなく、地元で当事者の声を聴いてきたジャーナリストにお願いしたい」と語りました。詩を書いたのは、そのころ入院中のベッドの上でした。
10年前の古里の「喪失」の風景、何もなくなった街で「誰かを癒す」場所をつくろうと立つ店の主人、愛するわが子を津波で亡くしたお母さんの想い、天明の時代の先祖を思い荒廃した村の土を再び耕す農家。胸に去来した詩から、悲しみを刻みつつ再生の明日を祈る力強い曲が生まれました。
あいにくのコロナのあおりで、当初予定した仙台の教会がクローズになり、あらためて多賀城の立派なホールが会場になります。宮城県はまた緊急事態宣言…ですが、文化センターではさまざまな予防策を講じ、目下予定は変更ないそうです。
集うのも難儀な状況で練習を重ねられた合唱団(工藤欣三郎さん指揮)の歌を、ぜひ~予防をなさりながら~聴きにおいでください。