尚絅学院大にて「当事者と出会う」授業に取り組んでいます。

 尚絅学院大(名取市)の後期の授業は、月曜の「メディアリテラシー」が先週で終わり、火曜の「実践講座 当事者とつながる学びとスキル」が10回を重ねました。副題が「3月11日に向けて記事を書こう」で、残り5回がその仕上げになります。
 どちらの授業も、たとえ遠隔でも、受講生に「人と出会い、話を聴き、そこから現実を知り、つながってもらう」がポリシーです。メディアリテラシーも座学の中ではなく、情報やニュースの源の当事者、発信者、その受け手の生きた関係に存ずると考えるからです。私の取材人生で出会った人々を授業に招き、現場と教室を直につなぎ、受講生が自ら当事者の声を受け止め自らの言葉で問う体験を、と。
 偏見や差別と闘いながら声を発してきた自死遺族の田中幸子さん、地域メディア「しょう新聞」を出し続ける東北大生の北平翔さん。「実践講座」では、受講生と現地取材に訪ねた地元の被災地・閖上の「語り部」で我が子を亡くされた丹野祐子さん、私の郷里相馬で原発事故被災者、避難者らの心のケアをされている精神科医の蟻塚亮二さんら。それぞれにzoomやリアルで受講生のインタビューを受けていただきました。
 実践講座の受講生たちは、震災から10年を過ぎた先も、子どものころの「怖い記憶」を超えて、被災地の若い世代として自ら「伝え手」となる実践に挑んでもらいます。そして「当事者に『寄り添う』とは何か?」を知る聴き手、発信者なってほしいー。どちらの授業も、それが目標です。