友人のピアニスト菅原紀子さんら『Ensemble Space』演奏会(@塩釜)の印象記です。
カテドラルのような白い天井ドームの窓の外は冬の時雨空。その窓に、木立の枝々と残り葉たちの影が揺れる。
ドームの下の暗がりを照らす、燭台のような灯りに浮かぶピアノ。菅原紀子さんの指が奏でる音は、ひとつひとつ、まあるく優しく、そして温かく、外の寒さをすっかり忘れさせた。
吉岡知広さん(仙台フィル)の弾くチェロは、心地よい自然の木の音を鳴らし、同じ木で造られたドームと一つの楽器になって響き、客席の私たちも大きな大きな共鳴の中にいた。
ダビット・ヤジンスキーさん(同)のクラリネットが歌うサン・サーンスは、窓に映る初冬の空のよう。明るかった雲がさっと翳り、ほの暗い寂しさの雨を誘い、また思い出したようにほころんで…。
(11月23日、塩釜市杉村惇美術館・大講堂での”Ensemble Space”コンサート)