【CafeVita 95】当事者とつながるシビックジャーナリズムを生かそう~NHKの東北の担い手たちへの提案

 6月16日、NHKの東北ブロックで取材、番組づくりをする人たちのローカルジャーナリズムの勉強会に参加させてもらった。リアルと遠隔でお話と質疑、有志との意見交換を1時間半ほど。生きた現場の議論ができた。
 震災の傷が癒えぬ被災地をはじめ地方、地域は深刻な問題が山積し、マスメディアの取材者も減り続ける。従前の「組織」が弱る中、一人ひとりが「個」の取材者~ローカルジャーナリスト~となって地域とつながり直すこと、そこから新しい取材の方法、あり方が見えてくるのではないか、と問いかけ、次のような提案させてもらった。
・取材者は当事者と異なる時間を生きている
・締切の時間に追われた「切り抜き」報道が、被災地で多くの当事者の心を傷つけた(耳の痛かろう実例とともに)
・取材は報じて終わりでなく、縁の始まりであり、信頼を得て初めて「他者の壁」
を越えられる
・そんな現場の体験、教訓を語り合い「伝承」し、新たな取材へ「継承」しよう。
・取材で出会った人との縁を地域の「定点」とし、それを広げよう。その地域、問題、状況、人の心情の変化を追うところから「続報」は生まれる。
・それは「寄り添う」の本当の意味を考えることでもある。
・ つながりの「定点」を広げることから、地域の生きた情報源も広がる。取材者の数限界があっても、万が一の災害でも「無名の被災地」を生まないこと、より多くの「当事者の生きた声と事実」を知ることもできる。よりよい報道、深い番組づくりにもつながるのではないか。
 〈写真はNHK仙台放送局で、勉強会を催す安野正樹さんと〉