河北新報読書面「東北の本棚」に、「二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて」の書評が載りました。
拙著「二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて 青年将校・対馬勝雄と妹たま」の書評が、2月6日の河北新報読書面「東北の本棚」に載りました。朝刊をお取りの方はどうぞめくってみてください。
二・二六事件で蹶起将校らが掲げた訴えの一つが「東北の農村を救え」でした。昭和の大凶作、極貧に喘ぐ小作農、娘身売りと絶望的な村争議。古里への重い憂いを背負い満州へ出征した息子たち。そんな当事者の立場にあった津軽出身の青年将校を追って、東北から「二・二六事件とは何だったのか」を掘り出そうとしたのが本書です。
でも、彼は国家改造に全てを燃やす革命家ではなく、家族をふくめ、不条理に苦しむ人びとへの純粋すぎる愛情に身悶えする田舎の青年であり、最後の日々、彼はその優しい素顔に戻っていきます。それを伝えたのが、「兄の真実を」と彼の妹が人生を懸けて語った貴重な証言でした。宮沢賢治と同時代の東北を生きた、ある家族の物語として読み始めていただけたら。