「相棒」はありがたい! 尚絅の授業にゲストの河北新報写真部長、「伝える写真」を伝授
「相棒」はいつでもありがたい。東北からネパールまで取材の旅を共にした元相棒・河北新報写真部長の門田勲さんが、尚絅学院大の授業のゲストで来てくれた。
この実践講座「当事者とつながる学びとスキル」は、毎年の受講生たちが地元・名取市閖上の被災体験者を取材し、それぞれの視点と問題意識で翌年の3月11日に向けた記事を書く。プロのスキルを学びながら、震災当事者の声の新たな「伝承者」に成長してゆく。そんな授業だ。
「人に伝える写真を撮る」と題した今回。現地取材を控える受講生に門田さんが見せてくれたのは、津波で3人の子を亡くした夫婦の10年に寄り添い、家族の再生を記録した作品。「写真は『写心』。カメラを自分の目のようにして、自らの感情と相手の思いを伝える行為です」と語った。
スナップや記念写真の時と異なり、「伝えたい、伝えよう、という意識が、見せたいものをはっきりと映し出す。身の回りのいろんなものに関心を向けよう、ふだん気づかない『発見』と出合えるよ」。そして、「秋」と「好き」をお題にして「ストーリーを込めた1枚を撮ってみよう」と、受講生を教室の外へ向かわせた。
20分ほどして、カメラ付スマホを手に戻ってきた一人ひとりの写真を、門田さんは丁寧に講評してくれた。見慣れた景色から切り取られた、トンボやヤギ、花…どれにも小さな発見がある。生協脇にぽつんと立つ古いアイスクリームの販売機の写真には「過ぎた夏の寂しさを感じさせるよね」。
受講生たちの感想には「どんな写真だったら伝わるかな、とワクワクした」、「何か問題意識を持つことで写真が変わる、と気づいた」、「誰かを思って撮ることが、良い写真の条件かな」―。そんな彼らに、現地取材では「いまの閖上」を伝える写真を撮ろう、とお題を出させてもらった。長年の相棒に感謝!