8月15日、『引き裂かれた時を越えて―「二・二六事件」に殉じた兄よ』を新潮社フォーサイトで連載開始

 今年の終戦記念日は何を思い、すごされたでしょう。私は『引き裂かれた時を越えて―「二・二六事件」に殉じた兄よ』という新しい連載を、被災地ルポを書かせてもらってきた新潮社の「Foresight(フォーサイト~」で始めました。敗戦から74年ですが、それより9年前、昭和11年に起きた「二・二六事件」が題材です。
 事件そのもの、というより、私が20年前に「時代よ語れ 東北の20世紀」という連載で取材の縁をいただいた弘前の波多江たまさんという女性がおり、お兄さんが事件に参加して銃殺刑になった人です。
 事件と兄を語ることも禁じられた戦前があり、戦後もファシズムの先兵として蹶起将校は忌むべき存在にされ、沈黙を強いられた遺族。弘前のおばあちゃんは「兄の真実を伝えたい」という一心で、語り部の使命を背負って生き、先日、104歳で逝きました。
 その人生に関わった者として、思いの一端を受け継ぐほかないと思いつつ歳月を過ごし、やっと約束を果たす時が来ました。おばあちゃんの健在の間に間に合わなかったという無念はあります。
 これまでの震災、原発事故の被災地の物語とは違うようですが、東北の当事者の声を伝える仕事に変わりはありません。これもローカルジャーナリストとしての新しいチャレンジ。先は長いですが、どうぞ、よろしくお願いします。

 第1話は、主人公の波多江たまさんの最後の日々と遺品にあった不思議な絵、そして筆者に託したものをつづりました。記事をご覧ください。

 「デイリー新潮」と「Yahoo!ニュース」にも転載されました。ご覧ください。