ジュリー、75歳の今。変わることない“ロック少年“の魂を知る

 ジュリー、75歳。友人の青山友子さん、宮沢之祐さんから薦められた映画『土を喰らう十二ヵ月』では枯れた?というより季節の流れとともに、自然の一部に還ってゆくような老境を、演技と思えぬ佇まいで見せた。起用した監督もすごいと思ったが、あるいは、生身の一端を映したのかも。
 現在の沢田研二さんのライブ中継に触れ、知ったのは、どれほどの人から「スター」の偶像性や神性、欲望を仮託されてきたとしても、彼はずっと一人のロックンローラーだったということか。共に歩んでくれたファンへタイガースのメドレーを心込めて歌った後、阿久悠さんとの大ヒット以降の曲を、魂はロックなんだぜと言わんばかりに激しく歌い続けた(阿久さんの詩も実は生々しいロックだった)。
 誕生日を一徳さんら仲間から祝われた後は、京都のロック少年そのままにストーンズをシャウト。75歳と思えない…というより、彼はずーっと自分であり続けているのだと感じた。常の人の半生でないだけに、よけいに凄い、と。わが身を白髪に変えた時間さえ味方につけて。介護保険料の高さ、保険証廃止への憤りも吐き出して笑い、それも終わりない人生のロックに溶け込んでいくのだろうか。
(WOWOWより)