浜松市での防災講座「知ってほしい 福島原発事故被災地の今」(5月27日)の受講者の感想まとめが送られてきました。その内容を考察すると―

浜松市防災学習教育センターの防災講座(5月27日)で『知ってほしい 福島原発事故被災地の今』と題する現地報告をしたことをFBにて紹介しました。その折に参加した市民や研究者の方らの感想まとめ(43人)をセンターが送ってくれました。
 当日は、南海トラフ地震の不安、浜岡原発が近い環境から、市民の防災の意識と気運は高く、真剣に聴いてもらえた―という印象を得ましたが、もっと具体的な評価が書かれています。
【内容について】 満足21、やや満足16、どちらでもない4(未回答2)
【役に立った点、興味深かった点】
・福島の現状、メディアには載らない現実が写真と共に分かった。
・美しい田園地帯だったのに、背が高く伸びてしまった。草木で覆われている。
・具体的な事例を基に話を伺えたところ。
・人々の声や様子を知ることができた。
・被災2週間後の写真から現在までの変化を中心に丁寧に見せていただいた。
【原発事故について】
・原発事故、除染活動の実態を知ることができた。
・震災の原発被害の深さ、悲惨さを再認識した。
・住民が実際に計測していることを知って、個々人でもできることがわかった。
・原発被害はまだ終わっておらず、土中の放射線が問題である。
・原発事故からの現状がどうなのか知ることができてよかった。母が相馬市出身なので、他人ごとに思えない苦しい気持ちがある。
【復興について】
・まだまだ復興には遠く途中であることを知ることができた。
・帰還、復興の難しさを知った。
・現地の状況を継続的に観測することの重要性を感じた。福島の件について、100年くらいは現地リポートが必要になるのかなと思った。
 *これらは主なものですが、当日は現場の取材写真を計120枚使いました。パワポにまとめた講演でなく、その始まりから、時間を刻んだ過程から、直近の現状まで「事実」をもって、具体的にリアルに、一枚でも多く「現実」を見てもらう。自らも渦中の当事者の境遇を追体験してもらう。「まとめ」や「訴え」で締めるのでなく、市民にも研究者にも、会場の取材者にも「原発事故が起きたら、さらに何が起きるか~わが街が、わが身が、わが同胞の人々が、わが古里がどうなるのか」を考えてもらうことが、ローカルジャーナリストとしての役目と、あらためて考えました。そのためには、終わりのない現場に通い続ける、というもう一つの役目も。
【情報発信について】
・今でも苦しんでいられる方々が多いこと。私たちは近くにいないので、情報も少なくなってきていることに危機感を感じる。
・ジャーナリストとして音・におい・すべてを五感で感じ伝えることの大切さは、あらゆる分野に言えることかと納得できた。
・忘れかけていることを思い出させてくれた。
・ローカルジャーナリストとしての心得について。
・日々、みなさんが地域で暮らしていけるよう努力をしているのに、無関係だと思っている人は忘れてしまう。地元に残って報道する力の大切さを知った。
 身の回りに「(被災地の)情報も少なくなってきていることに危機感」を感じ、気づいていただき、「音・におい・すべてを五感で感じ伝える」ことで共有してもらい、「忘れかけている」「無関係だと思っている」自分に気づいてもらえるためには、「地元に残って報道する力」がなくてはならない。それが「ローカルジャーナリスト」の存在なのだと、受講者に知っていただけたことが、自分としての成果でした。
 これについて、講座を最後まで聴いて、感想を述べ、筆者のコメントも取ってくれた静岡新聞浜松総局の小林千菜美さんは、地方紙記者としての自らの関心から、『(寺島は)地域の情報発信を行うローカルジャーナリストについて、「誰もが発信者になれる時代。情報を受け取るだけでなく、地域の日常で起こった出来事を丁寧に伝えてみてほしい」と呼びかけた。』と行数を掛けて書いてくれました。
 ローカルジャーナリストを地域に増やせたらという種まきは、こうした機会にいつもさせてもらいます。第1号である田中輝美さん(島根県立大准教授、元山陰中央新報記者)から、私も名乗らせてもらう許しをいただいて以来の約束です。
 静岡第一テレビ「everydayしずおか」の記者、藤見武さんも、講座の後に正式なインタビューをしてくれ、放映は2回にわたり、被災地の現状もきめ細かく、かつ新たな当事者となりうる静岡県の人々へのメッセージもきちんと伝えてくれました。
講座の時間内に話せなかった地域の問題にも、【もっと知りたい点】【被災地の人々や生活について】などにも24項目の質問がリクエストされ、『原発の処理水(汚染水)は海に流すのか?漁業の現状は?』という、筆者の郷里・浜通り地方を新たな渦中に巻き込む目下の問題への関心も寄せられました。
 日本(あるいは海の向こう)の海に接して暮らす、すべての人が当事者として考えてもらえたら、あるいは被災地発の続報の講座としてまた企画していただけたら、と思っています。講座を企画した浜松市防災教育センターの原田博子さんに、あらためて感謝です。(写真は6月1日付の静岡新聞の掲載記事)