「レコード芸術」、7月号で休刊のニュース。学生時代から愛着の雑誌がまた…

 「レコ芸」こと、月刊「レコード芸術」が7月号で休刊という。読んだ毎日新聞の話者はいまひとつ時代が合わず、ぴんと来なかったが、筆者が愛読したのは70年代後半。早稲田の大隈講堂裏の音楽同攻会という批評サークルに通い、当時の学生には高嶺の花のLPレコードの世界に浸りつつ、レコ芸を貪り読んだ。
 今も敬愛する吉田秀和はじめ、畑中良輔、大木正興、遠山一行、宇野功芳…ら執筆者の顔触れも多彩、個性的、好嫌入り乱れ、値段分以上の読み応えがあった。
 特集記事で想像するばかりのカラヤン(ドレスデン)盤のワーグナー「マイスタージンガー」(5枚組、1万〇千円?)を、バイト代を握りしめ高田馬場駅前のムトウでわくわくと手に入れ、下宿の安いプレーヤーの針を下ろした時、前奏曲のジャーンジャージャジャーン!の荘厳な響きに、天にも昇る感激を味わった。
 レコードをCDが追いやり、今は、アップルミュージックにて一生分聴ききれぬ音楽の宝蔵を持て余す。レコ芸より先に、知らずにいた曲を何でも、気になっていた演奏家を誰でも、すぐBLUETOOTHで聴ける。時代は変わったなぁ、と感慨深いニュースだった。