【Cafe Vita89】観てほしい、原発事故被災地発の映画「津島」 

福島第一原発事故後の「ふるさとを返せ!」裁判を3年前から取材する、浪江町津島(帰還困難区域)の人々が登場する映画『津島ー福島は語る・第二章』(土井敏邦監督)を観た。

 1週間上映(1日1回)の6日目。福島駅前・フォーラム福島には、津島からの避難先の人たちと見える年配者ら50人ほどが集っていた。3時間半の映画は、住民が次々に登場し、山間にある津島地区の往時と原発事故後の生活、家族、人生の変貌を生々しく語る。
 美しい四季の変化、厳しい開拓の歴史、貧しさを支え合った人と共同体の温もり、自然の恵みの豊かさ。そして、それら全てを奪い去った原発事故、「難民」へと追われた境遇の過酷さ。
 語り部は大人ばかりでない。避難先の学校で「放射能」「ばい菌」と呼ばれ、唾をはかれた廊下を体操服で拭かされ、教師からも無視され、試験用紙に採点もされず、ごみ箱に捨てられさえも…。
 横浜など避難先での「原発いじめ」が報道されたが、同じ福島でもすさまじかった避難者いじめを映画は露わにする。自死を思い詰めたほどの日々を、子どもたち自身がが登場して振り返る。安住の地のない絶望、心の傷みはいかばかりだったか。
 今、津島からの避難者500人余りが東電と国を相手に「ふるさとを返せ!」裁判を闘っているが、その人の数だけ、裁判に立ち上がった理由、「帰るふるさと」を取り戻さねばならぬ理由がある、と納得させられた。そんな映画である。
 福島での上映は今日28日まで、12:30から。全国での予定はホームページを。ぜひ足を運び、観ていただけたら。
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