参政党首が虚偽発言?宮城の知事が討論申し入れ

 19日の河北新報社会面。参政党の代表が仙台の街頭演説で、宮城県が『水道事業計画を民営化で外資に売った』と発言し、村井知事が虚偽だと謝罪訂正を求めている問題で、知事が公開討論を申し入れると報じた。
 民営化は20年に県知事が財政再建を理由に打ち上げた。前例のない手法の是非を、当時、河北新報が県民世論、専門家の知見をもって知事に問い、県議会でも激しく論議された。県の資料は無論公開され、検証済の話なのだ。
 持論の政策で一徹な姿勢の知事に批判的な県民は多いが、彼はいい加減な話をしないプロだとは分かる。地元紙からも日頃『おかしいことはおかしい』とチェックを受ける環境で仕事をする知事には、いい加減な言説~修正もできないならフェイク~を放置できないのは当然だろう。それどころか有権者すべてが嘘をつかれたことになる。
 この政党のある候補者は、核兵器を持てば防衛は安上がりと言ったと報じられた。以前、ある復興大臣が『震災が東北でよかった』と放言したのを思い出す。この時、大臣の更迭で事が済まなかったのは、筆者が知る被災者たち~飯舘村や石巻、陸前高田で聴いた~が、みな心を傷つけられたことだ。国の原発事故再稼働方針のニュースにも、避難先の人たちは『自分たちの今までの苦しみは何だったのか』と落胆し、命の危険さえあったと、診療する精神科医・蟻塚亮二さんから聴いた。
 被爆80年となる広島の二世、三世の方から、いかに体験者が『あの日』とそれからを苦しみながら生きてきたか、継承し伝えることの使命の重さを取材し、いま原稿を書いている。その候補者は、被爆地につながるいかに多くの人々、福島の原発事故被災地の人々をも傷つけたか、思いおよんでいるのか。責任政党という言葉さえ死語になったようだ。(7月19日)