【CafeVita88 凍てつく夜、小樽でもらった「雪あかり」の温もり】

 北海道で仕事をしている次男を訪ねて先日、2月の札幌へ。仙台に戻るまでの一晩、電車で近い小樽に泊まった。
 雪が降りしきる夜、外国の観光客の団体を縫って、名所の小樽運河へ。この日はちょうど地元の祭り「小樽雪あかりの路」の初日。手作りの雪像や雪燈籠、そして運河の水面に沿ってロウソクやランプの灯りをともし、降る雪もバックに幻想的な夜景がどこまでも続く。
 すると思いがけぬことが。一緒に歩いていた家族が雪道で転び、左手首を痛めてしまった。どうやら折れたかも、と言う。大事を取らないと、でも旅先の夜にどうしようーと心細いまま、運河の橋の上のテントにいた会場スタッフのお一人に救急の施設を問うてみた。
 その中の女性の方が心配してすぐ電話を掛け、小樽市の急病センターに外科医がいることを確かめて状況を話し、わざわざ持ち場を離れて道路の交差点でタクシーを止め行き先を告げてくれた。その親切にせめても名刺を差し上げ、着いたセンターで待っていてくれた若い外科医から骨折の診断と応急処置をしてもらった。
 それだけでなく後遺障害も危惧し、近くの小樽市立病院に連絡し、整形外科医の当直を確かめて「すぐに行って」とつないでくれた。市立病院でもすぐに診察してもらえ、さらに後々も安心な処置をしてもらえた。そして、帰ってからの病院への紹介状も。
 雪の降りしきる夜半の道を旅館に戻ると、主人は心配しながらも「市立病院は北大の優秀な医師だから大丈夫」と励ましてくれた。
 家に帰って明くる日、「その後、大丈夫でしたでしょうか。心配しておりました」と、雪あかりの会場で名刺を差し上げた方からメールが届いていた。橋本喜生子さんという方だった。無事に戻ることができ、適切な処置で痛みもなく、仙台であらためて治療してもらう旨の報告とともに篤くお礼の思いを返信させてもらった。
 橋本さんは、小樽青年会議所の理事長で、雪あかりの路の祭りを運営する人だった。かえって心配をお掛けしたと恐縮して読み進めると、「小樽市民や、訪れる観光客の皆様に小樽の魅力を伝えたいと思い活動しております」「いつかまた小樽に訪れる際、何かありましたらお気軽にご連絡ください」と結ばれてあった。
 小樽の人びとの親切、安堵と感謝を土産にでき、雪の中でも心温かな街を訪ねてよかった。「小樽雪あかりの路」は17日(土)まで。北海道ご滞在の予定ある方は、ぜひお訪ねください。私も再訪したいと思ってします。